「進撃の巨人」のアニメは、諫山創氏が「別冊少年マガジン」で連載していた同名の漫画を原作としたシリーズ作品です。原作コミックスは、電子書籍を含む世界累計発行部数が1.2億部を突破し、非常に人気のある作品となっています。
アニメは2013年4月からSeason1が放送され、その後Season2、Season3、そしてThe Final Seasonが順次放送されました。2014年には劇場版「進撃の巨人 前編 紅蓮の弓矢」、2015年には劇場版「進撃の巨人 後編 自由の翼」、2018年には劇場版「進撃の巨人 Season 2 覚醒の咆哮」が公開されました。さらに、2023年秋にはThe Final Season 完結編(後編)の放送も予定されています。
このアニメの魅力の一つは、さまざまなアーティストが手がけたOP・ED主題歌および挿入歌です。この記事では、アニメ「進撃の巨人」各シーズン、OAD、劇場版の3作品にわたるOP・ED主題歌および挿入歌計22曲をご紹介します。それぞれの歌手にも触れながら、どの曲が心に響くかをチェックしてみましょう!
【 アニメ「進撃の巨人」OP・ED主題歌の歌手一覧 】
■Linked Horizon――Season1・Season2・Season3・劇場版 前編 紅蓮の弓矢・劇場版 後編 自由の翼OP主題歌、Season3 ED主題歌
アニメ「進撃の巨人」の主題歌を最も多く手掛けたアーティストは、Linked Horizonです。彼らはSeason1、Season2、Season3、劇場版「前編 紅蓮の弓矢」、劇場版「後編 自由の翼」のOP主題歌、およびSeason3のED主題歌、計7曲に携わっています。Linked Horizonは、サウンドクリエイターであるRevoさんが主催する音楽ユニット・Sound Horizonの別名義ユニットで、他の作品とのコラボレーション時に使用されます。メインメンバーはRevoさんのみで、作詞・作曲・編曲・ボーカルをすべて1人で担当しています。
第1シーズンの第1話から13.5話までのオープニングテーマは、まさに最もクラシックなテーマ曲の一つと言えるでしょう! Linked Horizonが歌っており、この曲の歌詞は巨人の世界観を完璧に表現しています。
「囚われた辱めは反撃の矢」と歌詞にあるように、荘厳な感覚を出すために管弦楽が特に使われ、歌詞にはドイツ語も交じっています。その「wir sind die Jaeger」(我々はハンター)という歌唱部分では、Jaegerの発音が主人公エレン・イェーガーの名前に似ていることもあり、設定は本当に緻密です。初めて巨人を見た瞬間も考慮すると、その映像は本当に圧巻です!
Revoさんは、物語が連載当初から「進撃の巨人」の熱心なファンであり、Linked Horizonの活動を始めたきっかけは、タイアップの話が持ち掛けられたときであったと語っています。Season1のOP主題歌「紅蓮の弓矢」がヒットしたことで、Revoさんは2013年にLinked HorizonとしてNHK紅白歌合戦に初出場しました。
■日笠陽子――Season1 ED主題歌
アニメ「進撃の巨人」Season1のED主題歌を歌っているのは、声優・アーティストの日笠陽子さんです。彼女は日本ナレーション演技研究所に通っていた時に無料新人育成オーディションに合格し、2006年にアイムエンタープライズに所属しました。
2010年には第4回声優アワードで歌唱賞を受賞しています。その後、2012年にアニメ「進撃の巨人」のED曲を担当すると同時に歌手としての活動を開始しました。
また、アニメ「進撃の巨人」Season3では、レイス家の第1子であるフリーダ・レイスの声優も務めています。
第1シーズンの第2話から第13.5話のエンディングテーマは、日笠陽子が歌い、彼女の歌は一般にミカサの歌と呼ばれています。ミカサは常にこの残酷な世界を一番よく理解している人で、彼女の透明な歌声には少し絶望が漂っています。
歌詞には「その夢は こころの居場所 生命より 壊れやすきもの」とあります。今でも聴き返すと感傷的ですね。
Twitterでは、「美しき残酷な世界をフリーダが歌っていると思うと感慨深いね」「フリーダの声優が日笠陽子様で改めて感激した」といった歓喜の声が寄せられました。
■cinema staff――Season1・Season3 ED主題歌
アニメ「進撃の巨人」Season1・Season2のED主題歌を担当したのは、2012年にメジャーデビューしたロックバンドcinema staffです。メンバーは辻友貴さん(ギター)、飯田瑞規さん(ボーカル、ギター)、三島想平さん(ベース、コーラス)、久野洋平さん(ドラム)の4名。
第1シーズンの後半、第14話から第25話のエンディングテーマは、cinema staffによる「great escape」に変わりました。この曲はロックの要素がありますが、あまり激しくなく、歌詞には隠された謎があります。
「もし私がもはや私自身でないなら、あなたは確信できるかしら『あなたはあなたよ』と言えるかしら?」という、自己疑問と悲しみに満ちた感情が込められています。
「great escape」が、初めてのアニメタイアップ曲です。「great escape」はビルボード・ジャパン・ミュージック・アワードの優秀アニメソングアーティスト Animation Artist of the Year2013にノミネートされるなど、高評価を得ています。
■神聖かまってちゃん――Season2 ED主題歌、The Final Season Part1OP主題歌
千葉県出身のロックバンド、神聖かまってちゃんは、アニメ「進撃の巨人」Season2のED主題歌とThe Final Season Part1のOP主題歌、計2曲を手掛けたアーティストです。彼らは2008年に結成されました。
現在のメンバーはの子さん(ボーカル、ギター、ヴォコーダー)、monoさん(キーボード、ヴォコーダー)、みさこさん(ドラムス)の3名です。彼らはYouTubeやニコニコ動画に自作PVを投稿し、ニコニコ生放送やTwitCastingでの定期的な配信など、ネット上で精力的な活動を続けています。
「進撃の巨人」の作者である諫山氏は、神聖かまってちゃんのファンであり、タイアップが実現したのは諫山氏の強い希望があったからと言われています。さらに、Season2のED主題歌が収録されたシングル「夕暮れの鳥/光の言葉」とThe Final Season Part1のOP主題歌「僕の戦争」のジャケットには、それぞれ諫山氏のイラストが使用されています。
神聖かまってちゃんの「僕の戦争」は、TVアニメ『進撃の巨人 The Final Season』(NHK総合)のオープニングテーマです。この楽曲のノンクレジットオープニング映像は、ポニーキャニオンのYouTubeチャンネルで公開されており、再生回数は3,400万回以上となっています。また、神聖かまってちゃんのYouTubeチャンネルにもフル音源が公開されており、こちらは450万回以上再生されています。
「僕の戦争」は、前作「夕暮れの鳥」の雰囲気を踏襲するかのように英語詞で構成されています。しかし、ノンクレジットオープニング映像が90秒しかないという仕掛けがあります。なぜなら、2021年2月に公開されたフル音源は4分40秒あり、途中からは日本語詞が出てくる仕組みです。
英語詞は、『進撃の巨人』という作品の世界観を表現しているように感じられます。ノンクレジットオープニング映像を見た多くの視聴者がそうした印象を受けるでしょう。一方で、日本語詞は突如として視点が学生の日常に切り替わります。
■YOSHIKI feat.HYDE――Season3 OP主題歌
ロックバンド「X JAPAN」のYOSHIKIさん(ドラム/ピアノ兼リーダー)と「L’Arc〜en〜Ciel」「VAMPS」のHYDEさん(ボーカル)によるコラボレーションユニット。X JAPANも L’Arc〜en〜Cielも数多くの名曲を世に輩出する人気ロックバンドです。そんな大物メンバー同士によるコラボレーションは、発表当時SNSでも話題になりました。
YOSHIKIさんとHYDEさんは、アニメ「進撃の巨人」Season3OP主題歌である「Red Swan」を発表した2018年、YOSHIKI feat.HYDEとしてNHK紅白歌合戦に出場しています。
2018年7月20日(金)、”YOSHIKI CHANNEL”において、テレビアニメ「進撃の巨人」のオープニングテーマ「Red Swan」の歌手が「YOSHIKI feat. HYDE」であることが正式に発表されました。同時に、この作品のリリース情報も発表されました。
「どうすれば世界に認められるか。最高の楽曲、最高のアルバムを作ったとしても、何かしらの条件が必要で、一体それが何なのか、私たちも必死に考えている。自分は人生でいつまで戦っていくべきか。いつ自分に対して良い仕事をしたと言えるのか。」と語るYOSHIKIは、苦難の中で生まれた「Red Swan」です。
■SiM――The Final Season Part2 OP主題歌、The Final Season完結編(前編)ED主題歌
SiMは、2023年3月3日(金)よりNHK総合にて放送されるTVアニメ『進撃の巨人』 The Final Season完結編(前編)の主題歌を担当することが発表されました。楽曲名は “UNDER THE TREE”。
SiMは、TVアニメ『進撃の巨人』 The Final Season Part 2でOP主題歌から続いて、2回目の担当となります。
アニメ「進撃の巨人」The Final Season Part2のOP主題歌およびThe Final Season完結編(前編)ED主題歌を担当するのは、現在注目を集めているレゲエパンクバンドSiMです。
彼らは2004年に湘南でスリーピースバンド「Silence iz Mine」として結成され、翌年にバンド名の頭文字(Silence iz Mine)を取ったSiMに改名しました。現在のメンバーはMAHさん(ボーカル)、SHOW-HATEさん(ギター)、SINさん(ベース)、GODRiさん(ドラム)の4人です。
「The Rumbling」では、オーケストラのストリングスやクワイヤといった要素を取り入れつつも、「エレンの叫び」と共にSiMならではの重低音で、まさに “地鳴らし” のような楽曲を目指しました。どんな反響を呼ぶのか、リリースまで不安もありましたが、この物語の最終局面を迎える重要な回のエンディングを担当できたことこそが、その答えだと感じています。
■安藤裕子――The Final Season Part1 ED主題歌
「進撃の巨人 The Final Season」の第1話で明らかになったエンディングテーマは「衝撃」です。この楽曲は、安藤裕子が細部までこだわって書き下ろしたもので、哀しみ、怒り、安らぎ、苦しみなど様々な感情が交差するアニメの世界とリンクしています。
なお、アニメの第1話では、エンディングテーマが発表されると同時に、神聖かまってちゃんの新曲「僕の戦争」がオープニングテーマであることもアナウンスされました。
アニメ「進撃の巨人」 The Final Season Part1のED主題歌を担当したのはシンガーソングライターの安藤裕子さんで、所属事務所はホリプロです。安藤裕子さんは2005年に月桂冠「つき」のCMソングに起用され、「のうぜんかつら(リプライズ)」や、ニンテンドーDSソフト「レイトン教授と魔神の笛」EDテーマ「Paxmaveti ラフマベティ-君が僕にくれたもの-」なども手がけています。
■ヒグチアイ――The Final Season Part2 ED主題歌
アニメ「進撃の巨人」 The Final Season Part2のED主題歌を担当するのは、鍵盤弾き語りシンガーソングライターのヒグチアイさんです。
ヒグチアイさんは、2016年にメジャーデビューしたシンガーソングライターで、ピアノやヴァイオリン、ギターなどさまざまな楽器演奏に長けたミュージシャンです。
その他のアニメのタイアップ作品としては、アニメ「闇芝居」第5期EDテーマソング「やわらかい仮面」があります。
2023年1月に同楽曲のPVを公開すると、楽曲に合わせてテレビアニメSeason1からの名場面が登場する映像はファンの心を掴み、世界中で話題となりました。
配信と同時に世界66ヵ国のApple Music J-Popランキングで1位を獲得し、他41ヵ国でもトップ10入りを果たす快挙を成し遂げました。
■Gemie――OAD(#16.5A Lost girls Wall Sina,Goodbye ―前編―、#16.5B Lost girls Wall Sina,Goodbye ―後編―)ED主題歌
OADの特典として制作された回の中には、ED主題歌が流れるものもあります。例えば、#16.5A・#16.5BのED主題歌はGemieさんが担当しています。彼女は愛媛県松山市出身のシンガーソングライターで、「R!N」としても知られています。
Gemieさんは、フィリピンと日本のハーフで、3か国語を操ることができ、国内外で幅広い音楽活動を展開しています。彼女は「進撃の巨人」をはじめ、「機動戦士ガンダムNT」、「プロメア」、「キングダム」など多くのアニメ劇中歌を担当しています。
シンガーソングライターとしての活動だけでなく、作詞作曲やコーラスの仕事も手がけ、さらにはVRゲーム「ALTDEUS」の劇中歌でも歌唱と作詞を担当しています。
Gemieさんは「REVIVAL PROJECT」として2021年にシンガーソングライターのキャリアを再スタートさせ、澤野弘之氏のプロジェクトなどでの経験を生かして、様々なアレンジャーと協力して新しい楽曲を制作する予定です。
■Benjamin――OAD(#0.5A 悔いなき選択 ―前編―、#0.5B 悔いなき選択 ―後編―)挿入歌
Benjaminさんは、OAD #0.5A・#0.5Bの挿入歌を担当しており、イギリス出身のシンガーソングライターです。
彼は澤野弘之さんとのコラボレーションが豊富で、「進撃の巨人」や「機動戦士ガンダムUC」、「プロメア」などのサウンドトラックでの活躍が知られています。
ボーカルだけでなく、アニメ「進撃の巨人」の劇場版前編・後編・Season2でも作詞を担当しています。
■Yosh――劇場版Season2主題歌
Yoshさんが「進撃の巨人」の劇場版3作目の主題歌を務め、澤野さんとのコラボレーションが多いことが分かります。
彼が「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」の楽曲にもボーカルとして参加し、澤野さんのボーカルプロジェクト「SawanoHiroyuki[nZk]」にも関与していることは、アニメ音楽の世界での活躍が窺えますね。
アーティストが自らの好みや関心を公言することは、その作品に対する熱い思いを感じさせます。Yoshさんが「進撃の巨人」を「スーパー大好きなアニメ」と表現していることは、ファンとしての熱意や愛情が感じられますね。
アーティストとしての表現と、個人としてのアニメへの愛情が交わる瞬間は、ファンにとっても特別なものとなるでしょう。
■mpi――劇場版前編・後編ED主題歌
mpiは、日本の歌手であり、澤野弘之の御用詞人(作詞家)として知られています。MPIは、澤野弘之の歌曲(Rap以外)の英語部分の作詞を手がけています。2009年には、澤野弘之に招待され、小林未鬱とのコラボレーションで『戦国BASARA』の楽曲「CR€SC∃NT」を演唱しました。その磁性のあるが陽光的な声や、美しい英語の発音が観衆に好評を博しました。
2011年にはアニメ『罪惡王冠』に多くの楽曲を提供し、『高護木的規矩』、『進擊的巨人ova』、『ALDNOAH.ZERO』、『七宗罪』などの作品にも多くの楽曲で参加しています。ただし、MPIに関する具体的な情報はあまり公にされておらず、本人の意向や所属事務所の方針によるものか、詳細な情報が制約されているようです。
■Mika Kobayashi――劇場版前編ED主題歌
Mika Kobayashi(小林未郁)さんは、小林未郁として知られるシンガーソングライターで、彼女の主なスタイルはピアノの弾き語りです。彼女は「進撃の巨人」の劇場版前編のED主題歌だけでなく、澤野弘之が制作した「機動戦士ガンダムUC」「青の祓魔師」「甲鉄城のカバネリ」などのサウンドトラックにも、ボーカリストとして参加しています。
彼女は東京を拠点にしつつ、名古屋、大阪、新潟などでワンマンライブも行っており、2010年にはイタリア・フィレンツェでのソロライブを成功させ、国際的な舞台にも進出しています。ドイツやイタリアでのライブ出演や、2017年には中華圏ツアーも行い、その活動は国境を越えて多岐にわたっています。
■Mika Caldito――劇場版前編ED主題歌
「YAMANAIAME」では、新たなボーカリストとしてMica Calditoが参加することが注目を集めています。
Mica Calditoは動画投稿サイトなどで活躍し、自身の楽曲やアニメソングを多数カバーしている注目のアーティストです。澤野弘之が手がける楽曲を多くカバーしており、その縁からボーカルとしての参加が実現しました。
劇場版前編のED主題歌「YAMANAIAME」のCDには、アニメ「進撃の巨人」挿入歌「The Reluctant Heroes」のMica Calditoバージョンも収録されています。
Mica Calditoは投稿サイトで自身の楽曲やアニメソングのカバーを公開しており、特に澤野弘之が担当した楽曲を多く取り上げています。これがきっかけで、今回の作品でボーカルとしての参加が決まった形です。
澤野弘之らしいロックチューンに仕上げた「YAMANAIAME」は、映画にさらなる盛り上げをもたらすことでしょう。 Mica Calditoのこれまでの活動が作曲家本人から認められ、その才能が期待されています。