ホラー映画続編のいろいろ
最近、何十年も前にヒットしたホラー映画を製作会社が掘り起こして続編を作るケースはよく見えます。原因は単にオリジナル脚本が尽きてしまったことです。また、多くの場合、感慨にふけってお金を儲けるだけのものです。
「スクリーム」と「死霊のはらわた」は初回公開からすでに25年または40年が経過しました。「リメーク」するつもりならば、むしろ当時の映画をもう一度観た方がいいでしょう。したがって、近年のホラー映画は「リブート」が流行しています。中では、古い作品のスピリットをうまく引き継いでいない映画があります。だが、「スクリーム6」と「死霊のはらわた ライジング」は成功した例の二つと言えるでしょう。
2作とも元祖の『1作目』または「シリーズ」を教科書として活用します。観客には既視感を与えるものの、予測可能な状況で予測不可能な要素を加えます。スリルを感じながら驚かされることは、ホラー続編をリブートする決め手になります。巧妙なオマージュと新境地に至るハイライト、かつてないスケールでリブートするホラー映画はこれからも続々登場します。
スクリーム6(2023)
紹介
ホラーの巨匠ウェス・クレイブン監督と脚本家のケヴィン・ウィリアムソンの名コンビが生んだ「スクリーム」はスラッシャー・ホラー代名詞映画です。映画シリーズ第1作目は1996年に上演してから、もう20数年の歳月を経ています。そして、2023年に全米では6作目にして、シリーズ最高のオープニング興収を記録しました。
これまでの舞台をウッズボローからニューヨークへと移します。また、殺人鬼ゴーストフェイスが引き起こす新たな惨劇を描きます。ゴーストフェイスの手から何とか生き延びた4人は、ウッズボローの街を出ます。大都会のニューヨークで新たな生活を始めることになります。しかし、カーペンター姉妹は地下鉄で再びあのマスク姿を見つけ恐怖に駆られます。
レビュー
「スクリーム」はおそらく映画史上、最も自己認識のある映画です。及び、シリーズとしては自嘲的なスタイルを継続しています。今回もパターンを破壊したり、遵守したりすることを続けます。つまり、観客が馴染んだパターンを「壊す」か「従う」を繰り返します。古いジョークの中で新しいアイデアを生み出したり、またはそのまま引き継いだりします。
ストーリーがクラシックな展開をするだろうと思った瞬間、意図的に予想外の方向に進みます。期待される展開とは異なる結末に向かっていくかのような錯覚を観客に与えます。そして、予想されない展開が期待されるときには、予測可能な結末が繰り広げられます。観客との心理戦を繰り広げ、観客を完全に楽しませています。
「スクリーム6」は「続編」としての役割を果たすためには、より壮大なシーン、より大規模なスケールが期待されます。そして、当然ながらより凄惨な血みどろのシーンが必要です。各種の工夫したアディアが盛り込まれ、血糊の量も相応に増えています。なお、観客との心理戦を通じて殺人魔の正体を推理させます。
死霊のはらわた ライジング(2023)
紹介
「死霊のはらわた ライジング」は死霊と人間の戦いを描いたアクションホラーです。名監督サム・ライミの出世傑作「死霊のはらわた」シリーズの正統続編です。また、「死霊のはらわた」は1980年代、スプラッター映画ブームの火付け役となった伝説の最凶ホラーです。最新作の「死霊のはらわた ライジング」2023年4月に上演し、全米では初登場2位の大ヒットとなりました。なお、映画評論サイトでは満足度96パーセントを記録しました。およそ6500リットルの血糊を使用したことが話題となります。そして、容赦ないバイオレンスシーンが満載です。観客を再び震撼させ、恐怖の渦へ巻きこみます。
シリーズの見慣れた山小屋から舞台は大都会ロサンゼルスにかわります。姉エリーを訪ね、L.A.にやってきた妹ベスが突然の地震で現れた地下の部屋で見つけます。復活の呪文が吹き込まれたレコードと「死者の書」をきっかけに惨劇が始まります。そして、死霊との終わらない闘いに巻き込まれることとなります。
レビュー
「死霊のはらわた ライジング」は、近年で最もエンターテインメント性の高いホラー映画の一つと言えます。全編にわたってほぼ絶え間ないほどの血しぶきが描かれます。中でも、エレベーターのシーンでは「シャイニング」をオマージュした場面があります。エレベーターの扉が開くと血の波が押し寄せる様子が描かれています。
本来無限の母性が最も恐ろしい殺人鬼に変わります。極端な暴力と血みどろの画面と組み合わさり、興奮度と雰囲気を大幅に向上させました。また、97分という尺は最初から最後まで、殺戮の連続で、鑑賞中は緊張状態が続きます。
2013年に「死霊のはらわた」がリブートされ、オリジナルの真骨頂を受け継ぎます。そして、新しいエネルギーを注入し、驚きの作品となりました。その後10年が経過し、再び「死霊のはらわた ライジング」が登場します。製作費が約1,200万ドルで、約1.2億ドルの収益を上げ、確かに成功を収めました。今回の作品は、オリジナルの枠組みを壊すより多くの斬新なデザインがあります。映画全体にわたって緊張感を保ち、同時にオリジナルの味わいを捨てていません。