このホラーのプリクエルがすごい!
大ヒットした映画の前日譚を制作するのは簡単ではない理由はいくつかあります。まず、観客はすでに主人公の後の物語を知っています。次に、新しいアイディアがなく、同じパターンを繰り返すことで、高い評価を得るのが難しいです。
プリクエルを成功させるためには、主人公の以前の物語をうまく描く必要があります。また、観客がすでに知っている展開の中で、予想外の展開を提供します。そして、元の期待を超える必要があります。すでに上映されたホラー映画のプリクエル「エスター ファースト・キル」と「Pearl パール」はまさに期待を超えたプリクエルと評価されています。
エスター ファースト・キル(原題Orphan: First Kill)
「エスター ファースト・キル」は、主人公エスターが孤児院に入る前の前日譚です。少女エスターが養子として、ある一家に迎え入れられ、巻き起こす恐怖を描きます。2009年製作の前作では当時12歳で同年代のエスターを演じたイザベル・ファーマンが、25歳で少女エスター役を再び演じます。
エスターは、近年すごく優れたホラー映画のキャラクターとも言えます。彼女の異常な性格は、その成長過程とどのように関連しているのでしょうか。第1作の「エスター」ではエスターの凄さを既に確認しました。そのため、第2作の「エスター ファースト・キル」は、観客に異なる驚き、つまり後半の逆転を提供します。
裕福なオルブライト家の一人娘で6歳のエスターが行方不明になってからすでに4年の月日が流れました。ある日、警察からエスターが見つかったという朗報が届けられます。父、母、兄は数年振りの再会という奇跡にこの上ない喜びを感じます。そして、10歳に成長したエスターを迎え入れます。再び、4人そろって幸せな生活を送ることができます。しかし、4年ぶりに戻ってきたエスターは何かが変わったことがあります。
Pearl パール
「Pearl パール」はタイ・ウェスト監督、ミア・ゴス主演のホラー「X エックス」のシリーズ第2作です。なお、1970年代が舞台だった「X エックス」の60年前を描く前日譚です。「X エックス」に登場した極悪老婆パールの若き日を描きます。前作で主人公マキシーンとパールの2役を演じたミア・ゴスが今作でも主演を務めます。夢見る少女だったパールがいかにしてシリアルキラーへと変貌したかが明らかにされます。
監督のタイ・ウェストはレトロな映像と美学を用います。また、生活の苦しみや孤独感を描き、反撃としての血みどろの暴力を生みます。そして、不安を覚えさせるスリリングなホラー映画を創り出しています。
パールは、映画の中で歌い踊る華やかなに憧れます。だが、厳しい母親と病気の父親と田舎の農場で暮らしています。夫は戦争へ出征中で、毎日父親の世話と家畜たちの餌やりの生活を送ります。ゆえに、鬱屈とした気持ちを抱えています。ある日、町で映画を見たパールは、ますますスターになる憧れを強めていきます。そして、母親に厳しく叱責されます。絶望の中で、偶然の出来事が転機をもたらし、夢を実現するために、彼女は血に染まった地獄に突入します。