世界を変わった科学者たち
知識の境界を探る科学者は、研究への情熱と困難に立ち向かい克服する覚悟を持つ必要があります。また、既存の知識や一般的な概念に対する不満足、そして自分の判断力を試す意図も欠かせないです。つまり、科学者にとって、もっとも基本的な二つの資質は科学への愛と満足できない好奇心かもしれません。
一般的に、科学研究者は一般の人よりも好奇心が旺盛です。最も成功した科学者は熱狂的な情熱を持ちつつも、自分の成果を客観的に判断します。特に、他人の批判を受け入れる制約を受けます。挫折や失敗に直面した時でも、科学を愛しているからこそ不屈の精神を持ち続けることができます。
勤勉な態度、そして不屈の精神は、科学研究が成功するために必要な条件です。科学者は想像力も持っている必要があります。それによって肉眼では観察できない出来事や作用を想像します。つまり、仮説を考え出すことができます。科学者はしばしば相手とのコミュニケーションが難しいです。だが、自分の意見に自信を持っていながら他人の視点に疑念を抱きます。そのため、日常生活で人間関係を難しくする傾向があります。
オッペンハイマー
原子爆弾の父と呼ばれたアメリカの物理学者、ロバート・オッペンハイマーの伝記映画です。オッペンハイマーの栄光と挫折、苦悩と葛藤を描きます。「ダークナイト」3部作、「インセプション」など話題の大作を送り出してきたクリストファー・ノーラン監督による最新作となります。2023年に世界的ヒットを記録しました。なお、興行収入が全世界で9億1200万ドル(約1350億円)を超えました。
第2次世界大戦中、才能にあふれた物理学者のロバート・オッペンハイマーは、核開発を急ぐ米政府のマンハッタン計画において、原爆開発プロジェクトの委員長に任命されます。しかし、実験で原爆の威力を目の当たりにし、さらにはそれが実戦で投下され、恐るべき大量破壊兵器を生み出したことに衝撃を受けたオッペンハイマーは、戦後、さらなる威力をもった水素爆弾の開発に反対するようになます。
キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱
キュリー夫人として知られるマリ・キュリーの伝記映画です。1903年にノーベル物理学賞、1911年に同化学賞を受賞し、女性として唯一2度のノーベル賞受賞を果たしたキュリー夫人を、「ゴーン・ガール」「パーフェクト・プラン」のロザムンド・パイクが演じました。
舞台は19世紀のパリ。ポーランド出身の女性研究者マリ・スクウォドフスカは、女性というだけでろくな研究の機会を得られずにいました。そんな中、科学者ピエール・キュリーと運命的な出会いを果たします。結婚して、キュリー夫人となった彼女は、夫の支援で研究に没頭します。やがて、ラジウムとポロニウムという新しい元素を発見します。そして、夫婦でノーベル賞を受賞します。しかし、ピエールは不慮の事故で他界します。また、発見したラジウムは核兵器として利用されるようになってしまいます。
博士と彼女のセオリー
2015年に公開された「博士と彼女のセオリー」は、スティーヴン・ホーキングの元妻であるジェーンが記した回顧録に基づいています。ホーキング博士を演じたエディ・レッドメインが第87回アカデミー賞で主演男優賞に輝きました。
本作は、現代の宇宙を探求する最も偉大な物理学者が、最も素晴らしい時期に最愛の人に出会い、同時に半世紀にわたる筋萎縮性側索硬化症との闘いを始める様子を描きます。2人が病気の世話で次第に離れていく中、苦境、疲労、そして裏切りを経て振り返ります。世界への熱心な探求、全力で捧げた愛、そしてすべてを笑い飛ばすユーモアが、依然として最高の贈り物であることがわかります。
イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり
「博士と彼女のセオリー」のフェリシティ・ジョーンズとエディ・レッドメインが再共演しました。また、気球で前人未到の高度世界記録に挑んだコンビを演じる、実話ベースのアドベンチャードラマです。
1862年、ビクトリア朝時代のロンドン。当時では予測不可能と考えられていた天気の予測が可能であると唱えていた気象学者のジェームズは、荒唐無稽だと揶揄され、実験の資金も集められずにいました。そんな中、気球操縦士のアメリアに頼み込み、ジェームスは彼女の気球飛行に同乗することを許されます。最愛の夫を亡くしたアメリアにとって、その気球飛行は悲しみから立ち直るための決意の飛行でもありました。正反対の性格から対立ばかりしていたアメリアとジェームスは、飛行していく中で次第に心を通わせていきます。だが、前人未到の高度7000メートル超えに成功した2人に想像を絶する自然の脅威が待ち受けていました。
ビューティフル・マインド
ノーベル経済学賞を受賞した実在の天才数学者ジョン・ナッシュの半生を描いたヒューマンドラマ。「グラディエーター」でアカデミー主演男優賞を受賞したラッセル・クロウ主演です。また、「アポロ13」の名匠ロン・ハワードがメガホンを取ります。第74回アカデミー賞で8部門にノミネートされ、作品賞を含む4部門を受賞しました。
1947年、プリンストン大学院の数学科に入学したナッシュは、周囲から変人扱いされながらも研究に没頭します。やがて画期的な「ゲーム理論」を発見した彼は、その功績を認められマサチューセッツ工科大学の研究所に採用されます。愛する女性アリシアとも出会い幸せな日々を過ごすナッシュだったが、国防省の諜報員パーチャーからソ連の暗号解読という極秘任務を受け、そのプレッシャーにより次第に精神のバランスを崩していきます。
ジョンの卓越した理論は、数世代の数学者、経済学者、科学者を鼓舞しました。彼と妻アリシアの物語は、何百万もの観客を感動させました。
テスラ エジソンが恐れた天才
イーサン・ホークが孤高の天才発明家ニコラ・テスラを演じた伝記映画です。今日の電気の基礎となる交流電流での送電システムをはじめ、多くの発明を成しえながらも、天才ゆえに孤独な人生を歩みます。愛だけは発明できなかったテスラの苦悩と悲哀に満ちた半生を描きます。
1884年、移民としてニューヨークへやってきたテスラは、憧れのエジソンのもとで働くチャンスを得ます。だが、やがて電力の送電方式を巡って二人は対立します。エジソンと袂を分かち独立したテスラは、実業家ウェスティングハウスと手を組みます。そして、1893年のシカゴ万国博覧会で成功を収めます。その後も、大財閥J・P・モルガンから資金援助を受け新たな発明に挑むが、研究一筋の繊細なテスラの心は、実業界や社交界と不協和音を立て始めます。
エジソンズ・ゲーム
発明王エジソンとライバルたちがアメリカ初の電力送電システムをめぐって繰り広げたビジネスバトル=電流戦争を映画化。エジソンといえば、多くの人が「成功は1%の天才と99%の努力」という教科書の中の、世界に電灯をもたらした偉大な科学者のイメージがあるかもしれません。だが、彼の名誉を重んじ、手段を選ばない個性はあまり知られていません。「エジソン・ゲーム」は、我々が知らない一部の論争の歴史を描いています。
19世紀、アメリカは電気の誕生による新時代を迎えようとしていました。白熱電球の事業化を成功させた天才発明家エジソンは、大統領からの仕事も平然と断る傲慢な男でした。実業家ウェスティングハウスが交流式送電の実演会を成功させたというニュースに激怒したエジソンは、ネガティブキャンペーンで世論を誘導。事態は訴訟や駆け引き、裏工作が横行する世紀のビジネスバトルへと発展していきます。
天才と凡人にはあまり違いがなく、偉大な発明の背後には数え切れないほどの商業的な計画、特許の奪い合います。そして中傷や誹謗があります。電力の戦いもまた人間の野心の駆け引きでした。